第1話・その5
どれくらい時間が経ったのだろうか。俺はどうなったのだろうか?…頬に当たる風で目を覚ました大地は、辺りを見回した。ここは一体?あの二人が言っていた”地上界”なのか…。 そうだ、みんなは?美雷!炎也!疾風!水樹!音彦!日向!御影!一緒に飛ばされるんじゃなかったのか?7人を呼ぶ声が辺りに響いたが、何の反応も無いようだ…。 疑問を次々に頭に浮かべながらその辺を歩き回っていた。そんな大地の耳にふと遠くからの騒ぎの声が聞こえてきた。 鳥たちが騒ぎ逃げ出す様子を見た大地は、みんなあっちの方にいるのか!と考え、そこへ向かって走り出そうとした。 ????「待て、道原大地…。」 頭の中で誰かの声が響いた。大地は思わず足を止めた。 大地「誰だ!」 ????「私は地の精霊。…大地よ、そのまま行っては殺されるだけだ。その為にも…契約を結ぼう。」 大地「え、殺される、とは?」 地の精霊「あそこに居るのはお前の仲間では無さそうだ。邪悪さが入り混じった闇の精霊の力を感じる…。地底界の連中、科学力とやらをを使ったのかも知れない。今迄よりも数段、力が大きくなっている。」 大地「そんな…。」 地の精霊「あの二人の話を聞いただろう。私と融合し、”勇者ガイアン”となれば対抗できる力を得られる。”勇者の石”を守るためにもな。」 大地「”勇者ガイアン”?」 地の精霊「古の大戦において、我々精霊と融合した連中がそう呼称した。」 大地「そうなのか?とっとにかく、どうすれば?」 地の精霊「私を感じつつ、『融合合体』と唱えよ。」 大地は目を閉じ一呼吸ついて叫んだ。 大地「融合合体!!!!」 途端、大地の体内に地の精霊が駆け巡り、一瞬その体が緑色に光った。体中に今までに感じたことの無い力がみなぎっているようだ。 地の精霊「契約は完了した。大地よ、早速使って見るがいい。左腕を上にかざして唱えよ、”ランドビークル”と。」 左腕に着けていた時計が、妙な緑色クリスタルのはまったブレスレットに変わっていた。これを使うのか…。 大地「ランドビークル!!!」 クリスタルから緑色の光が飛び出し、大地の目の前に緑色をした車が現れた。うーん、これなら早く着きそうだけど、車の運転なんで出来るかな? 地の精霊「私の力が生み出した物なら、お前には簡単に扱える。生むが安し、だ。」 大地「わ、分かった!」 大地はランドビークルに乗り込み、鳥たちが騒いだ辺りへ向かった。
鳥たちが騒いでいた辺りでは… 白色に緑色のラインが入った車のような乗り物が3台、やや大きめの乗り物を庇うように停車し、同じ格好をした男たちが十数名が倒れたり苦しんだりしていた。 部隊長「我らドラゴニア近衛部隊がロカリス軍に対し、このざまとは…」 ロカリス軍には、大きさ5メートル程の兵器〜人型の様な、奇妙な形を持つ、どす黒い色をした物体〜が立っていた。近衛部隊にダメージを与えたのはこの兵器のようだ。 何時もならロカリス軍を追い払うことなどた易い事だった。しかし、奇妙な兵器には全く攻撃が通じなかった。闇の力を感じるこの兵器は一体何なのか? ロカリス軍の部隊長「さぁドラゴニアの王女様、降伏なさったほうが良いのではありませんか?」 ドラゴニア王女「誰があなた方などに…。」 部隊長と兵器を睨み付けてはいるものの、体は恐怖に震えていた。 ロカリス軍部隊長「そうですか。それじゃ死んで頂きましょう!!」 その恫喝に王女が思わず目を伏せたその時… 大地「そうはさせるか!!!」 ランドビークルごと兵器に体当たりした!思わず吹き飛ぶ兵器、何とか体勢を立て直してぶつかってきた物を睨み付ける。 大地「これが地底界の連中が科学力を駆使したものなのか…。」 ランドビークルから降りて逆に睨み付ける。それにしても、駆使したようには見えないが…。 王女「あの人は…助けてくれたの?」 自分が乗ってきた車の陰から様子をうかがっている。 ロカリス軍部隊長「貴様ぁ!何者だ!!!!」 今度は大地に対して兵器に攻撃させた。大地は近衛部隊たちに攻撃が当たらないように、兵器をこの場からやや離れたところへ誘導しながら自らへの攻撃をかわしていった。そしてその攻撃が一瞬止んだその隙に逆に攻撃を仕掛ける! 大地「ランドイレイザー!!!!」 両腕から交互に放った地のエネルギー波が兵器に直撃し、小さい爆発を伴ってその場に崩れた。 大地「何なんだ、弱い…。」 地の精霊「油断するな、ここからだ。」 控えていたロカリス軍部隊長は全身から黒い光をほとばしらせ、崩れた兵器に浴びせた。 大地「何だ!何が起こるんだ!」 黒い光を浴びた兵器は、崩れたパーツを掻き集めるだけでなく、ロカリス軍のボックスや破壊された近衛部隊の車までも掻き集め、あっと今に10メートル程の大きさの人型ロボットを形成した。 大地「これが…科学力?まさか…。」 ロボは大地に向け、炎の塊を放った! 大地は何とかかわしたものの、地面に塊がぶつかった時の衝撃が彼を襲った。 大地「くっ!」 体勢を立て直し、対峙する大地。そこへ地の精霊の囁きが聞こえた 地の精霊「大地、吸収合体でガイ・ランダーになるんだ。!ランドビークルを呼べ!」 大地「分かった…はぁぁぁぁっ!」 全身に地エネルギーをたぎらせた。その目は緑色に光っている! 大地「来い!ランドビークル!!」 傍へ走ってきたランドビークルの屋根に飛び乗り、急旋回してロボの方へ走りながら… 大地「吸収合体!!!!!」 大地の体は地エネルギーに100%変換され、ランドビークルを包み込んだ。ビークルはその前部を脚部に、後部サイドを両腕に、後部を両肩と胴体に変形させ、人型ロボを形成した。頭部は胴体内からせり出し、胸部にはクリスタルが浮かび上がった。そして最後に包み込んでいた地エネルギーがクリスタルに吸収され、眼に光が宿る! 大地「ガイ・ランダー!!!!」 約5メートルほどの大きさを持つ、緑色の人型ロボがロカリス軍のロボの前に立ちはだかった。 ロカリス軍部隊長「なんだこいつは!」 ガイ・ランダーを見たロカリス軍に動揺が走った。兵士の中には逃げ惑う者まで現れた。 ロカリス軍部隊長「あんな奴に負けるはずが無い!やってしまえ!!」 ロカリス軍のロボは右腕を変形させ、巨大な砲塔を形成した。そこから火の塊をガイ・ランダー向けて連射する! 攻撃をかわしながら、 ガイ・ランダー「ランドショット!!」 腰のサイドアーマーから銃を引き抜き、 ガイ・ランダー「ガイア・シュート!!!!」 地エネルギーの塊を砲塔に向けて放つ! どぅっかーーん!! 一撃で破壊した。ロカリス軍のロボはバランスを崩して左手を地面に付けた。 ガイ・ランダー「今だ!!」 胸のクリスタルが光り、両腕が地エネルギーに包まれる。その腕を頭の上に振りかざし、敵に向けエネルギーを放つ!! ガイ・ランダー「ランドイレイザー!!!!!!!」 凄まじいエネルギーがロカリス軍のロボを襲い、見事!粉砕した!! ロカリス軍部隊長「ちっ、ここまでか…。クレイグ様に報告を…。」 ロカリス軍は散り散りに成りながら、大慌てで退却した。 一部始終を見ていたドラゴニア近衛部隊は呆気に取られていた。聞いたことも感じたことも無い精霊の力にあてられたようだ。 一方、王女はガイ・ランダーの姿を見つめていたが、胸のクリスタルのデザインを見てハッとなった。 王女「もしや…このお方が…伝説の…。」
※第2話予告※ 訳のわからないまま精霊と契約し、敵を倒した大地。助けた王女から、自分が古の大戦で活躍した勇者の再来であると告げられる。しかし、大地自身は勿論、ドラゴニアの人々も半信半疑だ。そんな時、再びロカリス軍が現れた。7人の仲間を探したい気持ちを抑えて出撃した大地だが、敵が呼んだ助っ人に苦しめられる。今こそ呼び出せ!ランドタイガーを!!合体せよ、大地!!! 次回、勇者大陸ガイアン『地の虎王』 大地「これが勇者ガイアンの本当の力なのか?!」
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